先日、db1とdb2のベア・フレームが同時にそろうという機会がありました。言うまでも無く、赤がdb1、グレーがdb2のフレームです。

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 こういうことは、なかなかあることではないではないでしょうか。さっそく比較してみたいと思います。

 以前のエントリ(http://www.italian.sakura.ne.jp/sons_of_biscuits/?p=74)で当方は、『db2のホイールベースの方がスペック上、db1よりも、ごくわずかであるというものの、短い、と信じてきておりました』と書きました。事実は、db2の方が1cmほど長いのですが、さて、フレームレベルでは、どちらが、「大きく」、「重い」のでしょうか?

 まず、重さに関して。その差は実測するまでもなく、手で持ち上げてみれば明らかに体感できるほどです・・・・意外と思われるかもしれませんが、db1の方が重いのです。

 この場には、db1のオーナー氏が同席されていて、彼は当然、熱狂的なdb1の擁護者であるのですが、その彼をして、この現実はどうにも受け入れ難かったようです。

 その差の原因として、db1の方がシンプルなパイプ構成になっている分、db2と比較して、径の太いパイプが、長く、多く使われていること、および、ステムヘッド、エンジンマウント、リアサスペンションマウントといった力のかかる箇所に、かなりの肉厚が部材が設けられていること、が推測できます。

 また重量バランスですが、これは重要な要因ではありませんが、db1はフロントヘビー、db2は比較的、均等、と、こちらもdb1信者にはちょっと許せない結果が出ています。

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 次に外観の観察から得られる情報をまとめてみます。

 フレーム全長に関しては、db2の方が短くあります。(これも意外ではありませんか!?)一方、幅はdb2の方が広く、高さも高い。

 画像のフレームはエンジンマウントを基準に並べてありますが、エンジンマウントからステムヘッドまでの距離はdb1の方が短く、一方、シートレール後端まではdb2の方が短くあります。

 このことより、db1の方が、エンジンを中心とした場合、ライダーはより後ろに乗っている、ということが分かります。

 まあ、これらの差は、フレームが作られた年代の差に過ぎない、と言っていいのではないでしょうか。すなわち・・・db1フレームの原型は80年代前半のGPMのTTF2レーサーですが、92年デビューのdb2とは、およそ10年の隔たりがあり、さらに、db2は当然のこととして偉大なる前作db1をベンチマーキングしたことでしょう。(今となっては評価はいろいろあるでしょうが、少なくとも当時の作り手たちは、db2はdb1よりも優れていると信じて世に出してきたはずです。)

 逆に言えば、db1は後出しジャンケンの勝負にも、なかなか善戦している、と言えるのではないでしょうか。(勝っている、と言いたい人も少なくない?)

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 最後に、今回私がdb2のフレームに関して、改めて気がついたことを書いておきましょう。

 db1のフレームは「曲げ」を排した造りになっていますが、db2はその点では徹底していません。大きなところではトップチューブに曲げが入っているのですが、よくよく見ると、曲率が大きくなるよう(カーブが緩やかになるよう)な細工がなされていることに気づかされました。

 画像の横方向のパイプが溶接されている箇所を見てください。曲げの頂点とパイプの溶接位置がずれているのが分かるでしょう。同様の構造を持つドカの場合、頂点と溶接位置は一致しています。つまりドカのパイプの方が、カクッと曲がっていると言うことです。

 この辺に、パイプワークを知り尽くしたビモータならではの、ニクい配慮を感じ取れませんでしょうか。