今回、ご紹介するのは、USのアール・モーターズ(EARLE MOTORS)によるモンスターベースのダートトラッカー風カスタム。素晴らしい出来。

 ホイールはフロントはカワサキ純正、リアはハーレー純正でともに19インチとのこと。カワサキに19インチホイールなんてあったかな~?と思ったら、Z1Rの後期型に設定ありましたね!当時のカワサキ純正7本スポーク・ホイールは、モーリス風のデザインと径の大きさ、リムの細さで、当地のダートトラック向けカスタムパーツの定番なのかもしれません。

 タイヤは台湾のMAXXIS DTR-1。ダートトラック用の純レーシングタイヤ。日本でも最近デイトナが入れているようですが、まだまだなじみの薄いブランドです。レーシングタイヤを供給しているくらいだから、US市場では、結構、信頼されているのでしょうか。

 ベースはキャブ・モンスターで、画像を精査すると、ワンオフ外装&マフラー以外は、意外にライトなカスタムなことが分かります。それでここまで印象が変わっているのは見習うところは多い思いです。(まあ、その外装のワンオフが大した手間なわけなのですが・・・)

 外装への新鮮な色使いがなかなか。

 タンクカバーには Made in Venice と入れられていますが、イタリアのヴェニスではなく、上のカリフォルニア州旗から、カリフォルニア州ヴェニスと分かります。

 一体型のタンク&シートのデザインは、トライアンフ・X-75ハリケーンのそれと似ている、と言ったら異論・反論噴出でしょうか?

 アルミのインナータンク。フューエルリッドは既製品。

 ドゥカティ・エンジンのダートトラックバイクは過去にこちら(http://italian.sakura.ne.jp/sons_of_biscuits/?p=511)で紹介した通り、特に珍しいものではありません。それゆえか、その後もいろいろと出ています。

 ずいぶん前にさんざん話題になったので、いまさら引っ張り出してくるのもなんなんですが、デスモセディチRR・ベースのダートトラッカーです。

 カリフォルニアはロングビーチの RSD(Roland Sands Design)による製作。2011年製。

 こう見ると、デスモセディチのカウルの中は意外に整理されていて、ネイキッド化にはあまり苦労はないかな、なんて思ってしまいます・・・(おそろしく大変だったんでしょう!)

 上の画像と比較すると、どこが変わっているのか、どこが変わっていないのか、が良く分かると思います。

 NR750が出て間もない頃、ダイシンがネイキッド・カスタムを出してきて、それを、「ああ、転んじゃったんだ。やけくそになってネイキッド化してきたか。ブロスみたい。せっかくのNR特有の高級感が台無しになってしまったな」、なんて冷やかに見たものでしたが、今の目で見ると、NRの電装・補器類を見えないようにまとめ上げたのは相当な労があったのではないかとお見受けする次第。

 フレームも当然というか、一部のステーが切り落とされてたり、ボスが追加されたりしている程度で、ノーマルのまま。シートレールは自然な感じで新造されています。

 メーターパネルがタンク前部に移動されています。(メーターとECUは交信しているので、社外品に交換はできません)

 意外というか、トップブリッジもハンドルポストが立てられただけで、ノーマルのようです。

 ちゃんと?ダートを走っています。

 高名なアラン・カスカートもテストしていますが、完全にロード乗りですね。ダート用タイヤのままなので、リアがパワーに負けてズリズリしっぱなしだったのではないでしょうか。

2013/7/31 追記

 件のデスモセディチ・トラッカー、ebayで売りに出されていますね!
 5万ドルスタートで、最低落札価格はそれ以上・・・今のところ、入札者なし。果たして売れるのでしょうか?

 RSDといえば、ケニー・ロバーツのMOTO GPマシン(2004 PROTON KRV5)のエンジンで、ボードトラック・レーサー風カスタムバイクを造っているんですよね。上のセディチより5年前の2006年製。

 マレーシア最大のコングロマリットをバックに持つプロトンにケニーが作らせた990cc・60度・V5(ホンダ製V5は75.5度)の出力は、ちょっと控え目の200馬力程度とのこと。それにリアリジット・フレームとの組み合わせですからね、全開にすれば、タコ躍りで、まっすぐ走らせるのも至難の業かもしれません。(トラクション・コントロールは欲しいところ(笑)というか、そもそもフロントブレーキがありませんので・・・)

 なお、ボードトラック・レースというのは、戦前(1910年から20年ごろぐらい)のUSでポピュラーだった、路面は板張りの、バンクのついたオーバルコースで行われたレースです。

 ケニー本人と。

 後に立っているのは、RSD主催のローランド・サンズ。この人、AMAのシリーズチャンピオン(1998 250GP)になったこともある元レーサーです。父親は、パフォーマンス・マシンの創業者であるペリー・サンズという血統。

 ローランドは、ケニーからスペアエンジンだけを売ってもらったのでしょう。ちなみに、車体全部は、2011年、ケニーの代理人によって(ケニーの現婦人は、なんと日本人!)、日本のヤフーオークションに(も)売りに出ていました。(最低落札価格に達することはなかったようですが、数千万円だったと聞いています)

 ホイール&キャリパーは当然というべきか、オヤジがらみでパフォーマンス・マシン製。

 ああ、動いています!!(笑)

 ライダーは、下のライディングスーツと比較するに、ケニー本人!!ではないでしょうか。

 最後に、http://italian.sakura.ne.jp/sons_of_biscuits/?p=511で紹介していなかったテスタストレッタ・エンジンのダートトラッカーで〆させていただきます。