個人的な思い入れの暴走で回りはドン引き、という重度のバイク・オタクである当方にとっては嬉しい評価をいただいております一連のうんちくシリーズですが、過去のシリーズのうち、ひとつも収束の目処も立っていない現在、懲りずに新たなシリーズを始めたいと思います。(まさにディアゴスティーニ状態!)

 今回のテーマは、フレームです。私がオートバイの中で最も好きなパーツでありますゆえ、力の入ったシリーズになるでしょう・・・きっと・・・多分・・・

 オートバイのフレームを語る場合、避けては通れないのが自転車との関連です。というのも、誰でも容易に想像が付くとおり、現在のオートバイの先祖はエンジンの付いた自転車であるからです。

 以下、簡単に自転車とオートバイの関連性について述べておきます。

 最初の自転車は1800年代のごく初頭に登場。生まれはドイツです。ドイツというところを頭の片隅に入れておいてください!

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 足蹴り駆動の、タイヤ付き木馬というべき存在で(発案者は木馬を動かしてみたい、という着想だったんじゃないでしょうか?)、文字通り、原始的な存在に過ぎず、現在の自転車と技術的なつながりは、転輪が2つ、前輪操舵ということ以外ありません。

 これで特許を取っているということですが、おそらくキモは、その”前輪がステアする仕組み”にあるのだと思われます。

 フレームマテリアルは(というか構成部品すべて)木でしたが、この当時のテクノロジーでは、それ以外の選択肢は無かったのでしょう。

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 多くの人が黎明期の自転車として認識しているのは、1800年代後半の、こういったタイプではないでしょうか。(日本では江戸時代末期から明治初期にまたがる頃で、文明開化とともに外国文化が流入され始めた時期に一致するのでしょう)

 まだチェーンによる後輪駆動が実現する前のもののため、スピードを上げるために駆動輪である前輪を極端に大きくしています。なんとこれはスピード競技用だというから恐れ入ります。(足が長ければ長いほど、自転車レーサーとしてより優秀だったことでしょう!)

 フレーム、ホイールは鉄製となり、ホイールにはゴムが貼られています。 画像のものはイギリス製で、産業革命を世界最初に成し遂げた工業国イギリスは、自転車生みの親ドイツ、育ての親フランスを差し置いて、当時の自転車大国でありました。

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 以上のような有象無象の時代を経て、今のような自転車の形となるまで、誕生から80年ほどの時間が必要でした。思った以上に長い時間がかかっています。(ちなみに、ライト兄弟のちっぽけな(しかし偉大な)初飛行から、最初のジェットエンジンの飛行機が飛ぶまでの期間は、36年です)

 上の画像は、1896年(明治25年)、イギリス製の自転車です。現代の自転車と同じ、三角形を前後二つくっつけた形状のダイヤモンド型フレーム、フロントフォーク、チェーンによる後輪駆動、空気入りゴムタイヤ(これもイギリス人、ダンロップによる発明。1888年)といった要素が取り入れられています。これ以降が自転車の近代史といったところでしょうか。

 この時代から、自転車、オートバイ、そして自動車の技術的なイニシアチブは、長らくイギリスに集中することに注目したいところです。

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 オートバイに関して言えば、1960年代後半のホンダによる、CB450 (’65)、CB750 (’69)の連続攻撃で、英車の、翳っていたイニシアチブどころか、息の根が完全に止められることになるのですが・・・

 盛者必衰の理をあらわす。 驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し・・・

 (4輪では、レース分野に限っていえば、イギリスは未だにイニシアチブを執っていますね。この辺の伝統は揺るがなかったようです)

(つづく)